先日、ジブリの『風立ちぬ』を観てきた。
娘に「10歳の子どもにどうお?」と聞かれたので、「子どもには無理」と答えた。
そう、大人向きの映画である。
堀辰夫の小説『風立ちぬ』は読んでないが、柳田邦男の書いた『零式戦闘機』は以前読んだことがあったので、どうやって両者を結び付けるのかと興味があった。
それは無理がなくていちおう成功していると思う。
映像は美しく緻密で、関東大震災の場面もひしめく人々のすみずみまできちんと描かれて、相変わらず素晴らしかった。
私がこの映画を見て感じたのは平和への強いメッセージだった。
空を飛びたい、素晴らしい飛行機を作りたい、という人々の素朴な夢や努力が、やがてそれとは違う目的を持たされるようになり、爆弾を積んで飛ぶことになる。
しかも皮肉なことに、戦争は飛行機の発展におおいに寄与することになるのだ。
主人公の技術者は当時としては最新鋭の「零式戦闘機」を完成させるが・・・。
戦後、日本はYS11という国産飛行機を生産したのを最後に飛行機を作らなくなる。
しかし、飛行機を作る努力をした人々の心、技術は戦後に受け継がれて技術立国としての今の日本に貢献しているのだと思う。
その部分も少しあった方がよかったかな。
こうして書いてみると、ラブロマンスの部分は舞台回しのようなもので、美しかったけれど、特に感想はない。
やはり飛行機の設計に苦労する部分が面白かった。
ところで、映画に出てくる飛行機のプロペラの回転音、スイッチの音、汽車の轟音など効果音はすべて人が作っていたと知ってびっくりした。実際の機械音は一切使っていないのですって。そう言われなければ全く分からないのだからすごい!
最後に、ダメなところ。
相変わらず、声優がダメ。
主人公の青年の声がそぐわない。
そして性懲りもなく、有名俳優を使っている。
採点は 5点満点のところ ☆4つ。
もう一度観たいですか?と聞かれれば・・・観たいですね。