夏至が過ぎて、とても日が長くけだるい。
新聞の投稿欄にとても素敵な文が載ったのでそっくり載せます。
花たちの言葉
「聞いていたの」(3日)を読み、「やっぱり、植物には人間の声がちゃんと届いているのだな」とうれしくなりました。
ちょっと不思議な話ですが、9歳の孫は、植物と会話できるようなのです。
ある日、庭の小菊がきれいに咲いたので、玄関に飾りたいと思った私は、孫に切ってきてほしいと頼みました。
すると、孫は庭へ行き「一枝ちょうだい」と小菊に話しかけたそうです。ところが小菊に「私たちは子孫を増やさなければいけないのでダメ」と断られたというのです。
どうしても花を飾りたかった私は、それではと、庭のコスモスをお願いしました。
コスモスは何て言ったと思いますか。笑顔で帰ってきた孫はこう教えてくれました。「みんなで相談するので待ってください」と。そして少し間をおき「私を切ってください」と言ってくれたというコスモスは、一番鮮やかな色でした。
私は思わずそのコスモスに「ありがとう」と声をかけました。
思えば、小菊もコスモスも、マンションの建設工事が始まった近所の空き地から、つぶされるのはふびんだと、スコップで掘り出して持ち帰り、庭で大切に育てた花です。
ですから、花たちの言葉は私の心に響きました。花はわかっていたのだと、胸がキュンとしました。
投稿した野中さん、藤の花は確かに聞いていたのです。藤の気持ちを思うと、涙がこぼれますね。
(2012.6.29 毎日新聞朝刊 女の気持ち)
文中の、野中さんのご主人は「藤の花がどうしても咲かないね」と落胆していた。
間もなくご主人は病を得て亡くなったが、ほどなくして藤の花はまるでご主人を悼むかのように初めて花開き、「もしかして藤の花は私たちの会話を聞いていたのかしら」と、野中さんは投稿したのだった。
いま、梅雨時のうちの庭にも クチナシやハゼラン、カタバミなど雑草のように咲き誇っているせいもあって、このふたつの投稿文は、とても心にしみ入った。
7月1日、高田馬場の小劇場で「真空劇団」公演『さきくとばかり』イワナさん作 の公演を観に行ってきた。
お葬式を背景にしたドラマで、1時間半 客を飽きさせずに舞台に集中させる才能はすごい!
舞台上でイワナさんは見知っていたけれど、ご挨拶したのは初めて。
小柄な可愛い人だった(もっとも、「可愛い」はイワナさんにとってほめ言葉ではないのだろううけど)。